『恋人代行 』 ① 媚薬の口づけ
私がお品書きを見ていると、早速店員さんがやって来た。
「ご注文はお決まりでしょうか?」
「葵、決まったか?」
「ぅうん、まだ。何が良いかなぁ?」
「とりあえず飲み物を先に注文して、その後ゆっくり選べばいい」
「うん、じゃあカシスソーダ」
「カシスソーダと生中」
「はい、かしこまりましたぁ~。少々お待ち下さ~い」
私はメニューを手にしながら、視線は店員さんへと。
だって完全に目がハートで葛城さんを見てたもの。
うんうん…分かるよ…その気持ち。
私だって、初めて会った時は金縛りに遭ったみたいに動けなかったもの。
まぁ、今もそんなに変わらないけど…。
ただ…勉強したっていうか…。
あまりマジマジ見ないようにして、
意識をしっかり持つように心掛けたら
何とか辛うじて大丈夫かな?
「お待たせ致しましたぁ~」
飲み物が運ばれて来た。
やはり店員さんは葛城さんに釘付け。
乾杯の後、おつまみも注文して…
葛城さんと他愛も無い話をしていた。
「葵?どうかしたか?」
「ん?あっちの人達、私らの事気づいてる?」
私が首を傾げて聞くと、手招きされた。