『恋人代行 』 ① 媚薬の口づけ
≪潤 side≫
“実行”当日―――――。
俺は大学の授業を終え、彼女と待ち合わせの駅へ向かった。
電車は目的の駅の3つ手前で停車した。
次の駅にまだ電車があるらしく、
“しばらくお待ち下さい”とアナウンスが流れた。
時間はまだ30分前。
夕方のラッシュ時だが、意外と空いてる。
俺はドアに寄りかかりメールチェックをしていた。
すると―――――。
次の駅で停車しているのは…
“病人が出たから”だと言う。
“今しばらくお待ち下さい”
とアナウンスが流れた。
病人? 大丈夫なのか?
俺は医者魂が騒いだのか…病人が気になった。
10分程停車した後、電車は発進した。
待ち合わせの駅に到着した時は時間ギリギリ。
急いで階段を上り、改札口を出た。
辺りを見回しても彼女の姿は無く。
俺は通路脇に移動しようとした。
すると、少し離れた改札口の脇に男に絡まれてる女がいた。
帰宅途中のサラリーマンが邪魔で姿が良く見えない。
こんな目立つ所で堂々ナンパとは…
よっぽど凄い美人なんだろうな?
俺は反対側の壁に寄りかかった。