『恋人代行 』 ① 媚薬の口づけ
少し前までは周りの女子と同じく私も“キャーキャー”騒いでたけど…それは過去の話。
今はもう…何とも思わない。
女って切り替えが早いって言うけど、ホントなんだ。
目の前にこんなイケメンがいても全然ときめかない。
私にはもう“プリンス”には映らない。
女って……残酷。
「誰と?…何の用?」
「亘には関係ないでしょ!?」
「関係は大アリだ。俺の女なんだから」
「はぁ?何の話?冗談はよしてよ。バカにしないで!!」
「バカになんてしてねぇよ。俺、葵に別れるって言ったか?」
はぁ? 何様のつもり!?
あんだけメールも電話も着拒してたくせに。
呆れて言葉も出ない。
私は亘を睨み付けるように…
「フッ。面白いこと言うのね。1ヵ月以上も音信不通の人が今さら何?いい加減にして!迷惑だから!!」
「ここじゃ人が多すぎる。場所変えよう」
亘は私の腕を掴み歩き出す。
「離して!!もう、いい加減にしてよ!ホント迷惑なの!!」
私が腕を引こうにも力が強くて抜けない。
周りの女子の視線が痛い。
まぁ、今までも散々痛かったけど…。
校舎を出て正門へと歩いて行く。