『恋人代行 』 ① 媚薬の口づけ
「アイツ…キミに未練があるっぽいよな?」
「へっ!?」
「じゃなかったら、あんなに牙剥き出しにしないだろ」
「………どう…なんでしょう」
「で、より戻す気は?」
「えっ?まさか、ありえませんよ!」
“より戻す”って、私が亘と?
ハハハッ…それはホントありえない。
そもそも付き合ってたうちに入って無かったよ。
“キス”以上、何も無かったし。
だから返ってサッパリ、スッキリしてる。
ん?………してる?
さっきみたいに修羅場が、今後もあるんだろうか?
ドラマのようなドロドロが…。
「俺は姉貴に頼まれてるだけだから、キミがアイツとよりを戻すなり、新しい彼氏が出来れば…契約終了だけど」
「えっ?」
「新たな恋が見つかったら、遠慮なく言ってな」
「………はい」
“新たな恋”ねぇ。
今はまだ、前の恋も終わったんだか定かじゃないし。
今はそれどころじゃ…。
けど、新しい恋が見つかったら…
葛城さんともお別れなんだよね?