『恋人代行 』 ① 媚薬の口づけ
「どう?凄いでしょ?」
「はい!凄く綺麗ですね。ここ穴場ですか?」
「う~ん、そうなのかな?」
葛城さんは首を傾げて。
デートって言うから緊張したけど。
こういうのもいいなぁ。
普段、こういうデートをして女の子をメロメロにするんだろうなぁ。
「少し歩こうか?」
「はい」
私と葛城さんは境内を散策した。
つつじの間を縫うように…。
時折、後ろを歩く私を気遣って
振り返る彼の視線にドキッとしながら。
帰りの車内で…。
「これからどうする?」
「え?」
これからまた別の場所に連れて行ってくれるの?
「まだ、暫く彼氏のフリは必要だよね?」
「へ?」
彼氏のフリ?
………あっ!!
そういう意味の“これから”ね。
私てっきり今日のこれからかと…。