『恋人代行 』 ① 媚薬の口づけ
彼女が恥ずかしいと言うのは、
俺らを囲うように見物人がわんさか。
何故だか、俺は“芸能人”と勘違いされているらしい。
だから…さっきから……
俺らが行く先々に、御一行様を連れて歩く羽目に。
俺が彼女に寄り添い、
さっきみたいなスキンシップを取ると、
周りから“キャァ―――!!”の黄色い声。
はぁ…
こんなんで、彼女はデートを満喫出来てるんだろうか?
俺は彼女の肩を抱き、店を出た。
何故か、金魚のフン状態に連なる見物人。
俺は彼女に耳打ちして…
とある交差点で二手に分かれた。
俺は駆け足で見物人を撒き…
彼女と待ち合わせの場所へ。
彼女と待ち合わせの場所へ向かう途中、1軒の店に寄りながら。
彼女は書店の前に立っていた。
「ごめん」
「えっ?……いえ、大丈夫だった?」
「あぁ。」
「うん」
彼女の肩に手を回して歩き出す。