『恋人代行 』 ① 媚薬の口づけ
「話すことは無いわよ!?」
「俺にはある。聞いてくれるまで毎日来るから」
「はっ!?冗談はやめてよ」
「マジだから」
……冗談じゃない!!
亘が歩くだけで英文学科の女子が一斉について来るじゃない!!
後ろを振り返ると、7~8人の女子がついて来る。
……何なの!?信じらんない。
亘に掴まれた腕を振り払い、
歩く速度を速め、目的の教室を目指した。
教室の入口付近に二葉を発見!!
「二葉ぁ~~!!」
私は周りの目も気にせず走り出した。
そんな私の声に気付いた二葉は…。
「んッ!?ちょっと、葵!!?」
二葉が驚くのもムリは無い。
私の後ろは恐ろしい事になってる。
私を追いかけて来る…亘。
そして、その亘を追いかけて来る女子の群れ。
エサに群がるハイエナみたいに。
私は後ろを振り返りもせず、
一目散に教室の中へ飛び込み、
ドアをバンッと思いっきり閉めた。