『恋人代行 』 ① 媚薬の口づけ
「うん、大学で知り合って…。今は大親友で漫画家なの。超絶な美人で性格も明るい。漫画のネタ探しにバイト感覚で始めたらしい」
「弟さんも?」
「顔は何度か見たことがあるけど、超絶なイケメン。性格は分からないけど、仕事なら割り切ってくれるでしょ」
「それならいいけど…」
お姉ちゃんは携帯をいじり始めた。
「あっもしもし、弥生だけど。今大丈夫?」
恐らく、今話してた人に掛けているんだろう。
「うん、そう。で、弟さんに頼みたいってワケ。……うん、………分かった。じゃあ宜しくね?」
お姉ちゃんは電話を切り、何やらメモをしている。
「じゃあ、葵。ここのお店に明日の18時ね?」
「えっ!?明日?」
「とりあえず、話だけでも聞いてみたら?彼との相性とかもあるだろうし」
「………うん」
「で、葵は……。そうだなぁ……あっ、この間買ってあげた黒のワンピースを着て行きな?」
「黒のワンピース?」
「そう。あれなら可愛いし良く似合ってたし。相手にメール入れとくから」
「……うん、分かった」
そんなこんなで…。
私は“恋人代行”の彼と会う事になった。