『恋人代行 』 ① 媚薬の口づけ
翌日―――――。
目が覚めると、隣りに潤くんの姿は無かった。
布団を剥いで手を当ててみるが……冷たい。
ってことは、昨夜は何処で寝たの?
素早く身支度を済ませ1階へ行くと、
コーヒーを淹れている潤くんがいた。
「あっ、おはよう。早いね?」
「えっ?……おはようございます。あの…昨日は何処で寝られたんですか?」
「え?あっ…葵さんの隣りだけど?」
潤くんは優しく微笑みながらコーヒーを口にした。
………ウソをついている。
私に気遣って……。
「葵さんも飲む?」
「え?……はい、戴きます」
ダイニングテーブルへ近づくと…
昨夜のままで、後片付けがされていない状態。
リビングも凄い事になっていた。
「凄いですね…」
「いつものことだよ。そのままにしとけば後でアシスタントの人が片付けてくれるから」
潤くんは私にカップを手渡し、リビングのソファへ。
……って手渡されても、この状況の中で美味しく戴けない。
時間は6時を過ぎた所。
まだ早いし、時間は十分にあるし……片付けるとするか。