『恋人代行 』  ① 媚薬の口づけ


「よかったぁ。姉貴から“黒いワンピースの可愛い子”だけしか聞いてなかったから」

「えっ?」



彼はホッとした様子で席に着き、コーヒーを注文した。

可愛い子? 私が??


あっ……お世辞か……。

そうだよね…。



「初めまして。俺、葛城潤って言います。姉貴から親友の妹さんの彼氏を…って聞いて来たんだけど…」



彼は爽やかに挨拶して、話し始めた。

超絶イケメンって、声までカッコイイの?

少し低くて、落ち着いていて、優しい感じの声。

私は彼の声にうっとりしていた。



「あの、葵さん?聞いてる?」


彼が覗き込んで来た。


「あっ、はい。すみません。えっと、何から話したらいいですか?」

「彼の事は聞いてる。その男に復讐したいの?」

「復讐だなんて、そんな大層なものじゃ無くていいんです。ただ、キッパリ別れたいと言うか。彼に“もうコソコソしなくていい”って思わせたいんです」

「別れるんじゃなかったって、後悔させなくていいの?」

「そこまでは…。後々しつこくされても困るし。」

「了解。で、どうやってするか決まってる?」

「えっと…それは……まだと言うか…」


< 9 / 200 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop