微笑みと共に、世界は眠る
「私は責められるべき存在で、あなたに嫌われるべき者であるのに。なのに、どうして……」
憎まれたくない。嫌われたくない。
けれど私は、許されるべきではない。
「君は自分の世界を守ろうとしただけじゃないか」
「っ……けれど私が力を結晶化させたせいで、そしてそれを、消したせいで……!」
全て、私が引き起こしてしまった。私が、悲劇を生み出してしまった。
「結晶化しなかったからと言って、戦争が必ずしも起こらなかったとは限らないさ。……それに、もし君が結晶を消さなければ、世界が受ける被害は、更にひどくなっていたに違いない」
だから、と彼は続ける。
「そんなに、自分を苦しめないでくれ。全て自分のせいだと、自身を責める必要はないんだ」
その言葉に、彼女の目に涙が溜まる。
――ああ、俺は気付かなかった。〝戦争さえ起こらなければ〟という言葉が、どれほど君を苦しめたかということを。
何も知らない、無知であるがために、俺は君の心を何度も泣かせてしまった。
「ごめんなさい」
涙ぐむその声に、彼は強く、その小さな体を抱き締めた。