微笑みと共に、世界は眠る
「……私を、〝この世界〟から解放してよ」
刹那、ひどい罪悪感が彼女の胸の中を襲った。
その罪悪感に、胸が押し潰されそうになる。
立ち上がり、一段下りる。
冷たい風が、後ろから通り過ぎた。
力が抜けたかのように、少女はコンクリートの上にへたり込む。
呆れたかのように、鼻で笑った。
「ええ、そうよ。私は死ねない。あなたたちのせいでね」
そして、
「〝この世界〟を守るためにも」
ああ、けれど、あなたたちは思いもしなかったでしょうね。〝私〟が、絶望の淵へ落ちてしまうことを。
「期待されたものが希望と自尊心を持てば持つほど、それがいとも簡単に崩されたとき、もう一度手を伸ばそうとはしないのよ」
その言葉は誰に届くこともなく、静かに消えた。