微笑みと共に、世界は眠る
寂寥(せきりょう)たる雰囲気が、二人を包む。少女は鼻で笑った。
「……おかしいと思うでしょう」
「……ああ」
少女は目を合わせようとしない。
また、静けさが訪れた。西日が青年と少女を照らす。空が、紫紺に移り変わる。
「――あのむかし話には」
そして、彼女はおもむろに口を開ける。
「まだ続きがあるの」
白に黒襟のセーラー服を着ている少女は、突然、胸当てのスナップを取りだした。
「なっなにを……」
思わず青年は目を逸らす。
「見て」
その言葉に、おそるおそる彼は彼女に目をやる。
「……なんだ、それ」
露になった鎖骨。深い緋色に色づいた石が、胸元に埋め込まれていた。
「――この世界の、核(コア)よ」