微笑みと共に、世界は眠る
全て、私のせいだ。
その言葉が、青年の脳裏に響く。
私のせいで、世界が歪んでしまう。
「待って……!」
二人の後を追い、彼も走り出す。
私があんなことをしなければ――……。
「あんな、こと……?」
なんだ? 一体君は、何をしたんだ?
目の前がまた眩く光る。思わず彼は目を隠し、足を止めた。
――耳の奥に響く赤ん坊の泣き声と、すすり泣く声。
「……外に、出たい」
よく耳を澄まさなければ、周りの音に掻き消されてしまうほど、その声は弱弱しかった。
青年はそっと目を開ける。目の前に映るものは、薄暗く何もない場所で、すし詰め状態となっている人々の姿。
「行きましょう」
〝彼女〟は黒髪の少女を支え、上へと繋がる階段をのぼる。地上へ一歩踏み出し、二人は西日に目を細めた。