微笑みと共に、世界は眠る
「どうして、安全だとわかるんだ?」
そっと、少女は胸元に触れる。
「〝私(コア)〟は、自分の身に降りかかる危険を感じ取ることができるの。スピラ(私)が私に警告するのよ。一つの例を挙げるなら、〝此処にいたら頭を撃ち抜かれる〟とね。実際は言葉の警告じゃなくて、体の中に何かが流れ込んでくるような感じよ」
へえ、と青年は感心する。
ああ、だからあの時――。
( 此処は危ない。私について来て。そうすれば、安全だから )
黒髪であるあの少女の手を取った時、ああ言ったのか。
「………」
( 私があんなことをしなければ――…… )
ふと思い出した、その言葉。
「……君は〝全て自分のせい〟だと、強く思ってないか?」
その言葉に、少女の心臓が大きく脈打つ。
「どう、して?」
声が震えるのを必死に抑えようとしたが、それは無駄に終わる。
「君の過去の記憶を見たとき、君の感じた思いが、全て俺の中に流れ込んできたんだ」
「……そうだったの」
明らかに彼女の様子がおかしいことに彼は気付く。
「自分を責めないでくれ。俺はこの世界に命を吹き込んでくれたことに、感謝してるんだから」
「………」
少女は黙り込み、俯く。