微笑みと共に、世界は眠る
「私はあなたに、千年桜のある島国が戦争の発端だと言った。けれど本当は、違うの」
たとえ憎まれてしまっても、私はそれを受け止めなければいけない。
「……本当は、私なの。私が、戦争を引き起こしてしまったの」
彼の人生を、この世界の未来を歪ませてしまった私は、責められなければいけないから。
「………」
驚いた顔をして、黙り込む青年。その瞳が憎悪の込められたものへと変わるのを、彼女は見るのが怖く、俯く。
「その島国が他国と関係が悪くなって数年後に、千年桜が未知の植物病原菌に寄生されて……みるみる枯れていったの」
人々は嘆いた。その千年桜は、国の中でもっとも素晴らしいものだったから。
「いろいろな薬を試したけど、それでも一向に枯れていくばかりで、人々はみんな途方に暮れた」
そして不幸なことに、その病原菌は他の植物にも感染しだした。
少女は自分が覚醒した時のことを思い浮かべる。