僕等の足跡 ~キセキ~
事故
*
「行ってきまぁーすっ!」
「行ってらっしゃい。気をつけていくのよ!お母さんも後から行くからね!」
私、守口 叶実(もりぐち かなみ)は軽く前髪を整えると、上機嫌で家を出た。
今日は高校の入学式。第一志望の高校に無事受かり、今日からずっと待ち望んでいた高校生活を送る事ができる!
「おはよー、叶実!」
「あ、おはよー。恋唄!」
元気よく手を振りながら歩いてくるのは、私の親友の森 恋唄(もり れんか)。
ふわふわで、腰まである茶色の髪に、モデル顔負けのスタイル。色白で目が大きくて可愛くて・・・優しい性格から男女共に人気がある子。
そんな恋唄も、一緒に高校に合格した。
「まさか恋唄もこの高校に来るとはね~」
「だって、あたし叶実と離れたくなかったんだもん」
頬を膨らませながら、恋唄は上目遣いに私を見た。
「もー、あんたはほんっと可愛いなぁ!」
くしゃくしゃと恋唄の頭を撫でる。
「もーやめて!髪ぐしゃぐしゃになるよー!」
恋唄は笑いながら私の手を払いのけると、髪の毛を整え始めた。
「てかね、私ね~、高校で絶対彼氏作る!!」
私はぐっと拳を握りながら、決意のこもった口調で言った。
恋唄は意外そうな顔をする。
「えー!?男の子に告られてもことごとく断ってた叶実が!?」
「だって中学で彼氏作っても、どうせ高校離れたら別れるじゃん?」
「あー・・・でもあたし達は別れないから♪」
恋唄には、日向くんという彼氏がいる。
「あれ。まだ別れてなかったんだ」
「何その言い方ー!」
私達はゲラゲラ笑いながら、高校生活への希望を胸に、学校へ向かったのだった。