僕等の足跡 ~キセキ~
あ。運命だ



「―・・・全治二ヶ月です」

お姉ちゃんとお母さんがつれてきたお医者さんから、衝撃的な一言。


「に・・・二ヶ月!!?」

二ヶ月も学校行けないの!?
ただでさえこの高校、難しいのに・・・
そんなに休んでたらおいていかれちゃうよ!!!!
しかもあんまり休みすぎると出席日数がヤバくて、大学行けなくなっちゃう。


「安心して!毎日あたしがノートとって、ここまで持って来てあげるから」

恋唄が私の気持ちを察してくれたのか、明るく言う。
それでも私の気持ちは晴れなかった。

「でも、叶実さんの努力次第で変わります。頑張れば、全治一ヶ月かな」

お医者さんがニコニコしながら言う。

「助かっただけで奇跡みたいなものなんですよ?叶実さん、頭を強く打っていて、血も止まらなかったんです。頭も体も何針も縫っていますし、おまけに右腕を骨折、肋骨に罅が入っているんですから」

「え!?」

そんなに傷負ってたんだ・・・。
どうりで体動かしたら激痛走るわけだ。

「とにかく!叶実はちゃんと先生の言うこときいて安静にしてるのよ!?わかった!?」

お母さんが怒鳴る。

「はぁい・・・」

私は渋々頷いた。
そして先生から色々と説明を聞いた後、お母さん達は「明日も行くから!」って言ってぞろぞろと帰っていった。

一気に静かになる室内。


「はぁ・・・」


私は溜息を吐いた。
ゆっくりと目を閉じると、さっき聞いた低い声が聞こえてきた。



「お前、女の子を庇ってそんな傷負ったの?」


「え?・・・うん」


「ふーん」


・・・素っ気ない。
何だろ、あんまいい雰囲気じゃないなぁ~


「・・・お人好しにも程があるな」


「・・・はぁ!!!??」


何それっ!!
意味わかんないんだけど!?


私は腕を最大限に伸ばして、閉じてあったカーテンを開いた。


「何それ、どーいう意味!?」


目の前にいた男の子は目を見開いた。
私も同様に目を見開く。

だって、あまりにも綺麗だったから。
明るい茶色の髪に、それと同じ色の瞳。
鼻も綺麗だし、唇も薄くて・・・

もうほんと、かっこいい。


ぼーっと見惚れていると、男の子がぷっと吹き出した。


「何ムキになっちゃってんの?」

「だってお人好しって・・・」

「あぁ、別に悪く言ってるわけじゃないって。ごめんごめん・・・」

男の子は、とろけるような笑顔をみせた。


瞬間。













―あ。




運命だ




そう思った



――・・・一瞬にして、キミに恋をした。







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