16LIFE☆~それぞれの恋~
◇初めての、ヒトメボレ
君と目が合った瞬間に
あたしは恋に落ちてしまった。
こう・・・なんというか・・・
胸がギューッて苦しくなって、心臓がドキドキうるさくて。
何とも言えない・・・感じたことのない、この温かい気持ち・・・
君と目が合っただけでそんな気持ちになってしまうなんて。
これって、もしかして・・・ヒトメボレってヤツなんじゃ・・・?
事の発端は20分前。
季節は初夏。
校庭の桜の木では、新緑の葉の傍でセミがたくさん鳴いていて少しうるさい。
風は暖かいというより生ぬるくて、梅雨明けの直後のせいか蒸し暑かった。
「暑ーい・・・」
あたしは日直の仕事のため、皆のノートを視聴覚室に置きにいかなくちゃいけなくて。
美緒は先に帰っちゃったし・・・沙耶と真琴は部活で誰も手伝ってなんかくれないし。
「早く帰りたいよ・・・」
ブツブツと文句を言いながら、
積み重なっているクラスメイト全員のノートを運んでいた。