16LIFE☆~それぞれの恋~
とりあえず・・・起こしてみることに、決めた。
「あの・・・すみません」
そう声を掛けると、すぐに男の人はうっすらと目を開けて
ふわ、と漏れるあくびを手で押さえている。
・・・・・・色気満載なんだけど。無意識色仕掛けってヤツ?
男でも出来るものなのね。
「・・・ん・・・?」
そう呟かれた彼の声は、低くて甘いハスキーな声だった。
精一杯ポーカーフェイスを保って、あたしは冷静に話しかける。
「そのケータイ、あたしのです。
探していたので・・・拾って頂いてありがとうございました」
ぺこりとお辞儀をすると、男の人はああ、といって
握られていたケータイをあたしの手のひらに乗せた。
ケータイは、ずっと握られていたせいか・・・温かくなっている。
乗せられた時に一瞬だけ触れた彼の長くてキレイな指に、ほんの少しドキリとした。