16LIFE☆~それぞれの恋~
黒を基調としたシンプルな部屋。生活感が全く感じられないのはあたしだけかしら。
「はい、どうぞ」
「ありがとうございます」
紅茶を手渡されるとすぐに、香りを楽しむ。これ、あたしのマイルールだから。
「すごくいい香り・・・」
ベルガモットの香りがする。
いつも、沙耶やお母さんが淹れてくれる紅茶より、なんだか・・・高級感が溢れているというか。
お上品な感じが、する。
口をつけると、ほんのり温かい気分になった。
さっきまで寂しくて悲しくて冷え切っていた心を溶かしてくれているように、
温かい紅茶はあたしの胸の中に温もりとなってじわじわと広がっていった。
間宮さんがいるとドキドキして紅茶の味なんて分からないと思ってたけれど、大丈夫だったみたい。
「アールグレイっていうんだ、この紅茶。
俺はコーヒーにした」
「わざわざ手間かけちゃって、ごめんなさい・・・」
申し訳なくなって謝る。
「何で謝んの?
俺がしたかったんだから、全然構わないよ。
それより、俺が淹れた紅茶飲んで美緒が笑顔になってくれてるほうが、何倍も嬉しいしね」
そう言うとすぐに、優雅にコーヒーを飲む間宮さん。
・・・ほんとに。
何をしててもかっこいいのよね、この人は。