Genius 2nd ~葦原~
それから暫くしてHRが始まるチャイムが鳴った頃、ようやく教室の中からカチャリと鍵が開けられる音がした。
― やっと開いた
重い束を持ち直し、二人は扉を開け教室に入っていった。
教室の中で待っていたのは、先ほどとは違う冷たい空気。
自分達の席周辺に居た生徒達はただ2名を除き、教卓の右側・入り口側に集まって居た。
「あれぇ?君ら遅刻だよ?」
シンと静まり返った教室の中に、教卓に腰掛けたグループのなかの少年の声が響いた。
妙に芝居じみたセリフ
同時にクスクスと笑う声も聞こえる。
突き刺さる鋭い視線を向けられ、立ち止まった弥那とは対照的に堂々とした様子で彼らの前を横切り、教卓に教科書の束を置くユイ
そして一度少年を見ると、興味なさそうに視線を逸らし、日中さん、と弥那を呼び自分の席へと向かった。