Genius 2nd ~葦原~
來奈は闘いの中心を睨んだまま呟いた。



“朱雀・魂の解放<レル=サムナバレ>”




「一発喰らわせる。結界を解け」


彼女を包んだ炎が消えると同時に朱雀はそれだけ残し、翼を広げて飛びたつ。


「朱雀!?まだ無理しない…方が……」


護は止めようとしたが間に合う筈もなく、フゥと溜め息をついて結界に送る霊力を緩めた。








朱雀と黒い塊の距離が数百メートルと迫ったとき、彼らを包む結界は消えた。


[離れろ、玄武]


“心”でそう伝え叫んぶ。



“炎龍<エル=カサバ>”




“心”の声を受け取った玄武は素早くその場から身を引く


と、同時に太い龍に似た炎の束が黒い塊を貫いた。


そしてソレはゆっくりと粒子化し、何処からか現れたガラス玉に吸い込まれていく。


玄武は落ちていくガラス玉をキャッチして高い建物に着地した。


「…おい…それ…一体…」


羽音をたて現れた朱雀は空中にもかかわらず、來奈に戻り気を失った。


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