Genius 2nd ~葦原~

秘 密

南校舎屋上昇降口裏の壁を背もたれにして、少女達は座っていた。

弥那の濡れていた頬の涙も、この陽気であっという間に乾いた。

隣には、ずっと信じて待ち続けていた來奈の姿

彼女は快晴の空を見上げ、日の光が眩しいのか目を閉じていた。


「來奈ってホントに、凄いよね。
あの爆発で生き残れてたなんて…」

まだ赤い眼を擦り、弥那は來奈に笑顔を向けた。

「でもな、あの後トンネルを出た所までしか記憶がないんだ。
で、気が付いたら南の大樹の洞の中に居た」

閉じていた目をうっすらと開く。

「術も使える程の霊力も殆ど残って無かったし、動けるだけの力も無い
何時から其処に居たのか、"今"が何時なのかも分からない。
護が見つけてくれなければどうなっていたか分からない…」

そっと目を伏せた。

「でも、本当によかった。來奈がちゃんと戻ってきてくれて。」

寄ってきた弥那の笑顔

そのコトバと笑顔が素直に嬉しい


「…ありがとう」


気付けば吹いてきた風に消されそうだが、その言葉が自然にこぼれていた。

ふっと風に右目を覆う長い髪が靡き露わになった。

右目の上から頬まで伸びた新しい傷痕

「來奈?」

「なんだ?」
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