Genius 2nd ~葦原~
まるで上官と部下の会話を聴いているようで、明らかに不自然だ。

「まさか、アナタだけが来るとは思いもしませんでした。他の方々は?」

「護は仕事の引き継ぎがまだかかるらしい。氷は…野暮用だとか言って、消えやがった。
それにバルガードとの戦闘で唯一無傷だった南のゲートは、今の所オレしか使えないからな。」

「朱雀の力を持ってすれば、修復可能なのでは?」

「オレ等もそう判断し実行したが、修復出来たのは見た目のみ。葦原とウルトを繋ぐゲートは不完全のまま。修復完了までにはそう時間は掛からないらしいが……気になることもあったし。オレだけ予定通り来て、他は用事が済み次第来るってよ。」

「そう…ですか。」


不意に途切れかけたコトバ

啓斗の受け答えに來奈は眉間にシワを寄せた。

「…なぁ、啓斗」

「はい、何でしょう?」

何も気付かないようで、にこやかに訊き返す啓斗

「ソレ、止めろ。」

「『ソレ』とは?」

「分かってやってるだろ。」

「何のコトです?」

持ち前の鋭い視線の先には、イタズラな笑みを浮かべた啓斗が居る。


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