お見合い相手は変態でした
今頃はマーガレット様が旦那様と共に見合い相手と会っているのだろう。
そう思いながら控えの間に向かうと、控えの間では小さな小競り合いが起こっていた。
「私が持っていくわ!」
「いや、私が持っていく!だって貴方は昨日、奥様に紅茶を運んだ時、床にこぼして執事長に怒られてたじゃない!」
「それを言うなら貴方だって、一昨日、紅茶を給仕した時テーブルクロスにこぼして、シミになったって怒られたばかりじゃないの!」
控えの間のテーブルの上には、カップとティーポットののせられたトレーが置かれ、そのすぐ傍で侍女のターナとミモザがお互いの腕を掴み合って言い合いをしていた。
お互いが動くたびに机に身体がぶつかり、カタカタと揺れる。そのたびにティーポットの注ぎ口からこぼれた紅茶がトレーを濡らしているに、気づきもしない。
「どうしたの?一体。」
控えの間に人が来たのにも気づかなかったようで、声をかけると2人はぎょっとしたように目を見開いて声の主を見たが、相手がエルザだと気づくとほっと胸をなでおろし、腕も下ろしてこちらを向いた。
「ロア様が、応接間に紅茶を持っていくように私に言ったんだけど、ミモザが自分が行くって聞かなくて。」
「ちょっと!それは私に言ったのよ!どうせ、ターナは、見合い相手が見たいだけなんでしょう?」
「それはこっちのセリフよ!」
2人はエルザに事の次第を説明していたが、最初こそ冷静だったものの、火がついたのかまた掴み合いをはじめた。つまり2人とも、紅茶を応接間に運ぶように言われたが、見合い相手がこの目で見たかったので譲りたくなかったらしい。
激しい攻防に、紅茶は更にこぼれてカップのソーサーまで濡らしていた。
「そんなに見合い相手が見たい?私は顔を見たくもないわ。」
相手は、家の思惑で仕方ないとはいえ、マーガレットのウィリアムへの想いを断ち切らせた人だ。にっくき相手であり、顔をみたくもない。
エルザが呆れた調子で言うと、さっきまでただ純粋に仕事を遂行したいだけだという風な口ぶりで言い合いしていたはずの2人の矛先が、エルザへと移った。2人はずずいとエルザに迫ると、それぞれがエルザの手を片手づつ掴み、言い聞かせるように言った。
そう思いながら控えの間に向かうと、控えの間では小さな小競り合いが起こっていた。
「私が持っていくわ!」
「いや、私が持っていく!だって貴方は昨日、奥様に紅茶を運んだ時、床にこぼして執事長に怒られてたじゃない!」
「それを言うなら貴方だって、一昨日、紅茶を給仕した時テーブルクロスにこぼして、シミになったって怒られたばかりじゃないの!」
控えの間のテーブルの上には、カップとティーポットののせられたトレーが置かれ、そのすぐ傍で侍女のターナとミモザがお互いの腕を掴み合って言い合いをしていた。
お互いが動くたびに机に身体がぶつかり、カタカタと揺れる。そのたびにティーポットの注ぎ口からこぼれた紅茶がトレーを濡らしているに、気づきもしない。
「どうしたの?一体。」
控えの間に人が来たのにも気づかなかったようで、声をかけると2人はぎょっとしたように目を見開いて声の主を見たが、相手がエルザだと気づくとほっと胸をなでおろし、腕も下ろしてこちらを向いた。
「ロア様が、応接間に紅茶を持っていくように私に言ったんだけど、ミモザが自分が行くって聞かなくて。」
「ちょっと!それは私に言ったのよ!どうせ、ターナは、見合い相手が見たいだけなんでしょう?」
「それはこっちのセリフよ!」
2人はエルザに事の次第を説明していたが、最初こそ冷静だったものの、火がついたのかまた掴み合いをはじめた。つまり2人とも、紅茶を応接間に運ぶように言われたが、見合い相手がこの目で見たかったので譲りたくなかったらしい。
激しい攻防に、紅茶は更にこぼれてカップのソーサーまで濡らしていた。
「そんなに見合い相手が見たい?私は顔を見たくもないわ。」
相手は、家の思惑で仕方ないとはいえ、マーガレットのウィリアムへの想いを断ち切らせた人だ。にっくき相手であり、顔をみたくもない。
エルザが呆れた調子で言うと、さっきまでただ純粋に仕事を遂行したいだけだという風な口ぶりで言い合いしていたはずの2人の矛先が、エルザへと移った。2人はずずいとエルザに迫ると、それぞれがエルザの手を片手づつ掴み、言い聞かせるように言った。