お見合い相手は変態でした
ただ、給仕を終えて応接間を出れば、マーガレットとロベルトが2人きりになる状況を作ってしまうのだ。しかも、命令をされているので、紅茶を書斎に運ぶために、すぐに応接間から出て行かなくてはならない状況でもあり………。



エルザは頭を抱えて唸りたい気分だった。出来ることなら、カップ内の紅茶をロベルトにひっかけて、追い出してやりたい。だができるわけがない。
侍女としての立場をわきまえ、紅茶を給仕して出て行かなければならない。



エルザは断腸の思いで紅茶を注いだカップをソーサーにのせると、ロベルトの前のテーブルに置いた。
すると、あえて避けていたロベルトと、ばっちりとまた目が合ってしまった。
淡くエメラルドのような光を宿した瞳、見目麗しいその相貌。嫌がっていたエルザでさえ、思わず見入るほどのその容姿。
ロベルトの淡い蒼色の瞳に、エルザが映っているのがわかる。
そこでエルザは、はっと意識を取り戻した。



いや、おかしい。映るという事はつまり………相当近くに相手がいるという事だ。



気づいたときには、ロベルトがチェアを立ち、エルザの顔を至近距離から覗き込んでいた。
慌てて後ろに退こうとしたが、その刹那に手首を捕らわれ、それは叶わなかった。



「麗しい君の名前を教えてもらえるかな?父上と母上はご健在かい?どこの出身かな?」



矢継ぎ早の質問攻撃に、エルザは息をつめ、ヒィと声をあげそうになった。
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