レベッカ
目の前で女の子と楽しげに話していても全く気にしない素振りが、気に食わないといえば嘘になる。
あの事件があってから――レベッカがいなくなって、アレンとも距離を置くようになってから、ロイ自身にも理由はよくわからないが、突然“そういう遊び”に手を出すようになった。
きっと、二人の存在が、ロイにとってはブレーキになっていたのだ。
二人に知られたくないことはしちゃいけない、という意識が、それまではどこかにあった。
そのブレーキがなくなってしまって、正直、相当ひどい遊び方をしていた時期もあったと、ロイは自分のことながら自覚していた。
アレンの気を引きたくてやっているわけでは決してないが、彼女がロイの女性関係に口を出してきたことは、今まで一度もない。
(俺のことなんかどうでもいいってか、)
そりゃ当たり前か、と自嘲気味の考えに至ってから、つくづく自分たち二人は、レベッカに繋がれていたのだと実感する。
彼女がいないだけで、こんなにもバランスが崩れるのだ。
崩れたバランスは、あれから一度も立て直されたことはない。