レベッカ




本部の建物に入ってしまうと、もう半ば安心して、アレンの方に注意を払い続けることもなく、だらだらと歩いていた。

その時だった。



ロイが気付いた時には、もうアレンの体は、ぐらりと傾いでいた。
思わず、「っあ、」と声が出る。



だが、未だ包帯に覆われたアレンの肩が、床に打ち付けられることは、なかった。


「大丈夫か。誰か付き添いをつけておけばいいのに」
「あ……、エド先生」


ちょうどその角を曲がって来たエドが、怪我をした場所には触れないように、アレンの体を抱き寄せていたのだ。

頬を赤くして慌てるアレンを壁に寄りかからせると、エドは倒れてしまった松葉杖を拾い上げる。
そして、それをアレンに渡しながら、苦笑いを返した。





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