レベッカ




「……ベタベタしやがって……っ」


それに、アレンがロイに対して近頃感じる違和感は、“保護者”に対するものとは、明らかに違っていた。

“保護者代わり”なら、アレンにだっている。
“尊敬できる上司”に立場は変わったが、エドは今だって、父親代わりみたいなものだ。

けれど、ロイは違う。


(なんか、変な感じするじゃん……)


アレンが怪我人だからなのか、ロイがアレンに接する態度には、最近少しずつ、棘がなくなってきているように感じていた。
相変わらず少し斜め上からではあるが、昔のような、自然で対等な関係に、戻ってきているような気がしているのだ。


「昔……昔、か」


アレンは、ぽつりと呟く。
フェンスの外を転がり落ちて、やがて地面で砕けて消えてしまったような、そんな声色だった。





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