レベッカ




――レベッカが殺されたのは、アレンのせいだ。



ロイは言葉にも態度にも出さないが、少しくらいはそう思っているに違いない。


アレンがもっと早く、あの地図の描かれた紙切れのことを思い出していれば。
アレンが走るのが、もっと速ければ。
アレンに、もっと体力があれば。

せめて――マシンガンを構えたあの場面で、撃てていれば。


少なくともアレンは、そう思っている。

あの時ロイの足を引っ張っていたのは、どう考えても自分だった。

そう思ったあの頃から、一体どれだけ努力してきたか。
体力で男に負けないように、肝心の場面で弾切れなんかにならないように、身体能力で引けを取らないように。

こんな怪我で、今までの努力全てを無駄にしている場合ではないのだ。





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