レベッカ
たっぷりの間や緊張感を煽る声色に、彼の話術の巧みさを感じる。
しかし、ロイはその顔を睨み付けた。
「あいにくさん、俺は“マシンガン・ヤード”が好きなんでね」
そう言い放ったロイに、マルクは目を丸くする。
そしてふと表情を消すと、ロイの正面に立ち上がった。
「がっかりしたよ。馬鹿なやつだな……お前があの小娘の暴走を少し早く止めるだけで、どれだけこの組織のためになるか、わかっていないのか?」
「小娘?」
「あのマシンガンだよ、決まってるだろう」
確かに、日常的に暴走するような女なんて、アレン以外にはいない。
それはわかるのだが、マルクの完全に上から見下ろした物言いが勘に触って、ロイはムッとする。
そもそも、そんなに簡単に止められるものなら、とっくにそうしているはずなのだ。
「……どういう意味です?」
「今のままでは、組織にも国にも損にしかならない。儲かるのは病院と薬屋だけだと言っているんだよ」
「は?」
マルクはそう言うと、ロイの言葉を待たずに踵を返した。