レベッカ



「……ねぇ」


声を発した途端に、横っ面を一発、殴られた。
頭が揺れる。

伊達に毎日鍛え上げているわけではない、彼らだって、『マシンガン・ヤード』と名高い、治安維持部隊の隊員なのだ。

ロイの傾いた体を見て、一人が止めに入る。
ずっとロイの正面に立って、右手に持った拳銃をこれ見よがしに見せつけていた、ハリーという男だった。


「もういい。喋らせろ」
「……っはぁ……よくできた部下じゃん。拷問の仕方、満点だよ」
「無駄口はいいから、続けろよ、ロイさん」


ハリーは二年ほどまえにMYへ入隊した男で、パウルという男の隊の人間だ。

ここ最近MYでは、パウルはマルク派の代表的な存在だという噂が流れていた。
だが、十中八九マルクの差し金であろうこの場には、パウルの姿はない。

ロイは、口を開いた。





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