レベッカ
「余計なもん見やがって……生きて帰れるなんて、思ってるわけじゃねぇだろうな」
「……余計なって、どれのこと? あんたがパウルの名を騙ってマルク派で好き勝手やってたこと? それとも、」
こういう挑発的な言葉は、顎を突き出して強気な笑顔を見せて、憎たらしく言ってこそ、効果がある。
ロイは、笑っていない目で、吐き捨てた。
「あんたがこんな状況になっても、そんなちっちゃい拳銃なんか持って、ライフルの能力を使おうとしないこと?」
そう言った瞬間に、パァァァン、と甲高い銃声が響いた。
続けて二回、また破裂音が響き渡る。
ロイは、心臓が脇腹にあるような錯覚を感じながら、にやりと唇の端を吊り上げた。
「ハァっ……いっこしか当たってないよ。“ソレ”は弾数、限られてるんだから、大事に使わなきゃ」
「うるせぇよ!! お前なんかいなきゃな……、!!」
顔を真っ赤にしたハリーが、ロイの頭に銃を突き付ける。