レベッカ



「アンタはそんなだし、アレンさんだってまだ松葉杖だ。ニラさんたちだって、この人数でかかれば」
「は……甘いんじゃないの」
「そうでもないさ」


ハリーの自信に溢れた態度が気になって、ロイは眉を寄せる。

何か策でもあるのだろうか。
煙幕弾はもう使えないだろう。
同じ手に二度も引っ掛かるほど、アレンも馬鹿ではないし。

ただ気にかかるのは、アレンの怪我の程度だった。

試しに松葉杖なしで歩いてみるほど回復していたのをマルク側の人間は誰も知らないようだが、当然本調子にはほど遠い。
ロイも怪我は見ているが、治り具合は本人にしかわからない。

だいたい、今朝アレンに言った一言が、果たして彼女にどの程度伝わっているのかが問題だ。

今日はやけに忙しかった。
街のあちこちから出動要請があって、きっとほとんどの隊が出払っているだろう。

ロイが手伝いを頼まれたパウルの隊は、全員ここにいる。
ロイ一人が戻らないのなら怪しまれもするだろうが、隊全員が揃ってというのなら、手こずって長引いているだけだと普通は考えるだろう。





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