レベッカ




(あとの頼みは……ニラたちだけど)


他の隊に借り出されて出動することは、アレンにだけ言ってある。
あとは、ニラやキュウやナイジェルが、ロイが他の誰にも言わずに行ってしまったのを不審がることを、祈るしかない。


――「ま、とにかく、言ったからね」


その言葉の意図を、アレンは気付いてくれるだろうか。

なにかあったら助けに来て、なんていう、情けない信号を。



黙り込んだロイが何を考えていると思ったのか、ハリーはにやりと口許を笑わせた。
手にした小さな拳銃を掲げて、見下す口調で言う。


「俺がライフルを使わないのが、アンタが言うような理由だと、まさか本気で思ったのかよ?」


ロイが訝しげに睨み付けると、ハリーは背後や天井を仰いだ。

その仕草に、ロイは一つの可能性に気付く。
それならば、彼がこんなに自信満々で「アレンたちなんか相手じゃない」と言う理由がつくのだ。





< 146 / 226 >

この作品をシェア

pagetop