レベッカ
「あーあ、またやってるよあの二人」
「また屋上か」
「バカと煙は高いことろが好きって言いますし」
「ほんと、仲良いんだか、悪いんだか」
同僚たちが、呆れ顔で二人を目で追う。
ロイとアレンの衝突なんてあまりにも日常茶飯事すぎて、止めるどころか、もはや煽って楽しむ気にすらならないのだ。
厳つい色黒スキンヘッドのニラは、ロイたちと同じアーミーのナイフ使いである。
あとの二人はバリア人の血を引いていて、動物に変態する能力を持つ、ビースティ。
金髪のナイジェルが犬、東洋系の顔立ちで物腰が丁寧なのが、イタチのキュウだ。
彼らは二人と同じ小隊の仲間だ。
アレンが隊長を務める少数精鋭部隊で、殺人や人拐いなど、凶悪犯罪を専門に出動する隊だ。
だいたい同年代で、ロイとアレンとは同期で、仲も良い。
だからこそ今さら二人の喧嘩を口出しする気もなく、暇潰しとばかりに加熱し続けるのを眺めていた。
口論はロイの小言から、だんだん子供同士がするような中身のないものに代わりつつある。
「だいたいいっつもそうじゃんかよ、人の言うこと聞けって昔から言ってんだろ!?」
「はぁ!? なんでロイの言うことなんか聞かなきゃいけないワケ!?」
「一人じゃまともに生きていけねーようなヤツがよく言うわ、あんた俺がいなかったらとっくに野垂れ死んでんだろーが!」
「ふざけたこと言ってんじゃねーよ、お前の方こそだろ! ろくにケンカもできねーもやしっ子のくせに!」