レベッカ



そろそろ「バカ」「お前の方がバカ」「いやお前の方が」なんて言い出すんじゃないかと、ニラたちはにやにやしながら見ていたのだが。
そこへ通りかかった人物に、三人は急いで姿勢を正した。


「エドさん!」
「あ、すいませんあいつら……今静かにさせますんで!」


明らかな敬意を払われながらも、「いや、元気だなあいつらは」と感じよく笑うのは、エド。
MYに二人いる取締役のうちの一人だ。

彼らの声に、まだまだヒートアップしそうだったロイとアレンも気付いて、「お疲れさまです!」と背筋を伸ばす。
その姿に、エドは口髭を撫でて苦笑した。


「なんだ、もうやめるのか?」
「あ……いや、すいません、うるさくして」
「まったく、君たちは飽きないね」
「もう飽き飽きしてますよ、こんな顔」
「こっちの台詞だっつーの」


うんざりと見下ろすロイに、ぼそりとアレンが反撃する。
その姿にまた笑うエドに、アレンは照れ臭そうに顔を背けた。





< 16 / 226 >

この作品をシェア

pagetop