レベッカ
ロイは、静かに続ける。
「……だから。どっちにしたって、あんたは見てないんだから。何も言わない方がいいよ。余計な真似しない方がいい」
「でも……っ、じゃあどうすればいいわけ!?」
無言の返答が来る。
ロイだって、考えていないわけではない。
考えた上で、アレンに、余計なことはするなと言っているのだ。
それは、アレンにだってわかっている。
わかっているからこそ、悔しげに顔を歪めた。
「そんな……黙ってるなんて、できるわけねーだろ。そんなこと、させない。あたしがなんとかする」
「……俺は自分の身が可愛いから、事を荒立てる気はないよ」
「、だったら一人でやれるとこまで」
「そうじゃなくて。俺は自分が大事だけど、それより仲間が大事だよ。……アレンは、俺にどうしてほしい?」
眉尻を下げて言うロイ。
その漠然とした問いかけに、アレンは言葉に詰まった。
勢いこんで口に出しはしたが、さっきロイが言ったように、一人ではできることなんて限られているというのは、よくわかっている。
「止める気はないよ。止めたら後悔するだろうから」
ロイの言葉には、暗に過去の後悔が含められている。
「でもほっとく気もない。だから、助けなんかいらないんだったらそう言って、余計なことすんなって、一人でいいって。あんたがそこまで言ったら、俺は素直に首引っ込める」
ここで突き放していいわけがない。
正直言って、助けてほしい。
だがアレンは、何を言おうか迷っていた。