レベッカ



そんな噂がまことしやかに流れる一方で、マルク本人は、混乱していた。

あんな事件があって、ロイが迷いなくエド派につくのは当然の成り行きといえる。
世間にはハリーの独断での暴挙ということで通っているが、ロイだけは、あの時あの場所にマルクがいたのを見ているし、自ら脅し紛いのことを口にしたのも聞いているのだ。

だが、マルクが去った後、ロイを助けに乱入してきたのは、アレンやニラたちだったと聞いている。
この一週間でアレンからの接触はなかったし、当然彼女が自分の側についたなんて、全く関知していない。

何か裏があるのかとも思ったが、今までマルクが見てきた限り、アレンとロイの仲の悪さは、本物だ。
それがあの事件以来なぜかエスカレートしているのも、知っている。

アレンとの仲違いについてそれとなくエドに探りをいれてみたりもしたが、彼はこの件に関しては全く我関せずを貫いていて、話をはぐらかされるばかりである。

噂の真相も見えず、アレンの真意も図りかねていたマルクだったが、変わり始めたのは、予想だにしなかった別のところだった。





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