レベッカ



そんなある日、同期たちの出動に、たまたまロイだけが同行しなかった日のこと。
隊の帰還と同時に慌ただしくなったのは、医務室の辺りだった。




「なにが辛いって、しばらくまともに飯が食えないことなんだけど」


むすりと眉を寄せるアレンに、ナイジェルやキュウが苦笑いを返す。


「食べたら脇から出てくるんじゃないの?」
「んなわけないだろ。食わなきゃ体力も戻んないっつーのに」
「なに言ってんです、そんな怪我で。今日中に意識が戻ったのだって凄いことなんですから」


白いベッドで半身を起こしている状態でも、左の二の腕に巻かれた包帯が痛々しい。
しかし、十センチも切り裂かれたそれでさえ掠り傷と言えるような怪我が、実は毛布や衣服に隠れた部分にいくつもあるのだ。





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