レベッカ
「今回は随分大人しかったらしいな。どうした、まだ痛むのか?」
「いえ。体の方はもう、すっかり」
「そうか……無理はするなよ」
心配そうに言って、エドはアレンに背を向けた。
戻ってすぐに報告に赴いたアレンは、その後ろ姿を見送ってから、振り返る。
そして、肩を揺らした。
「ご苦労だったな。その調子で今後も頼むよ」
そこには、マルクが立っていたのだ。
アレンは、目を伏せる。
ついでに頭も軽く下げて、低い声で肯定の返事を返した。
「その……さっきの通り魔犯は」
「さぁな。君たちは、港に放置したんだろう?」
「えぇ、まぁ」
「自力で病院にでも行ったんじゃないか?」
「え? けど、それじゃあ……」
制裁を受けた後、すぐに自力で動けるようでは、MYの目的に沿わない。
徹底的に痛め付けて、他への見せしめになるくらいの恐怖を与えなければ、意味がないのだ。
そんな不服の表情を読み取ったか、マルクは言った。