レベッカ



「なんてな。いやなに、それで自由になるというわけではないんだよ。そんなはずないだろう? むしろ、彼らにはこれから地獄を見てもらう」
「え?」


MYには、牢がない。
それは犯罪者の数に対して数や対応が間に合わないためだが、マルクの話では、まるで彼らが牢屋にでも入れられるように思える。


(どういう意味……なに企んでんだ?)


以前、ロイがマルクの勧誘を受けていた時に匂わせていたのと、同じ話なのだろうか。

アレンに求めていることのみでいえば、『やりすぎるな』の一点で、同じ目的を持っているように思える。
ロイが真意を尋ねた時は、「お前ならわかっているはずだ」とかわされるばかりで、詳しいことはなにも聞き出せなかったらしい。


『あんたになら教えてくれるかもしれない』


そう、ロイは言った。

MYの頭脳と呼ばれるロイに対して、アレンはもっぱら肉体派だ。
頭が良すぎないというのは、それだけでも相手の警戒心を多少弛めることができる。

しかも、マルク側で一度ロイと悶着あっての、アレンのこの、エドへの裏切りである。
アレンとロイの仲の悪さは、組織内誰もが認識している。

同じ人物を敵対視しているという点では、マルクからしてみれば、これほど説得力のある裏切りはないのだ。





< 184 / 226 >

この作品をシェア

pagetop