レベッカ
そんなアレンに対してなら、マルクも警戒をとくかもしれない。
馬鹿と言われているようでさすがにかちんときたが、唇を尖らせたアレンに、ロイは苦笑を返した。
べつに馬鹿なんて言ってるわけじゃないけど。いいんだよ、あんたはそれで。
全く意味がわからなかったが、深く考えるのはやめた。
今は、とにかくマルクからより多くの情報を引き出すことが最重要事項だ。
ほとんど賭けのようなものだが、アレンは、おずおずと口を開いた。
「あの……地獄、っていうのは。どこに行ったのか、マルクさんは知ってるんですか?」
難しく眉を寄せて、首を傾げるアレン。
そんな、難問に頭を悩ませる学生のような仕草に、安心感を抱いたのだろうか。
マルクは、アレンの率直な質問に、にやりと笑った。
「知ってるさ。まぁ、今ごろはもう、海の上だろうな」
「……?」
そこまで言ってもなお、ぽかんとした表情を返すアレンに、我に返ったのか、慌てて続ける。
「まぁ、君が知る必要はあるまい。任務に尽力してくれよ。くれぐれも、“無理はしないように”な」