レベッカ



「これから地獄を見てもらう、か……。あ、こら、こいつらも気を付けとけよ」
「あ、うん。なんか、まるでどっか連れて行かれるみたいな言い方だよな」


「うん」とも「あぁ」ともつかない曖昧な返事を返してから、ロイは顔を上げた。
アレンからの、マルクとのやりとりの報告だ。


「どこに……なんのために?」
「今ごろは海の上、とかも言ってたけど」


会話が途切れる。
面と向かっているわけではない対話は、こうして突然間が空くことがよくあった。

やがて、ロイは少し驚いた声を上げる。


「“海の上”? 確かに、そう言ったの?」
「うん。間違いない。その後は、喋りすぎたと思ったのか、なんも言わなかったけど」


ロイは、険しい顔で、沈黙した。
なにか考え事をしているようだった。

すぐに、また会話を再開する。





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