レベッカ
両足に深い大きな切り傷と、脇腹を抉るような銃創。
こんな小さな体に負って、よくこんなふうに平然と話していられるものだと思うような、大怪我だった。
同じ隊で一緒に出動したのに、アレン一人にこんな怪我を負わせてしまったナイジェルたちとしては、複雑な心境だ。
心配していることは隠すつもりもないが、彼女は気丈に笑ってみせるに決まっているので、あからさまに見せるのも気が引ける。
大丈夫ではないとわかっているのに、大丈夫かなんて聞くのも、無神経すぎる。
なにより、申し訳ないなんて思ってしまえば、アレンに失礼になる気がした。
男社会の中で暮らす苦労も、体力やパワーの面で置いていかれている悔しさも、アレンにしかわからないものだ。
足手まといだなんて思ったこともなくても、彼女にそう感じさせることだけはあってはいけない。