レベッカ




この任務の拠点にしている廃ビルの、埃っぽい床に、倒れるように座り込む。

そして水の入った瓶を煽るアレンの側には、マルクの姿があった。

通報を受けて出動してからずっと前線にいた彼女に、一旦休憩を取って体力を回復させてこいと、ロイの指示があったのだ。

そこで、仲間が戦ってるのに自分だけ休むなんて、などと駄々を捏ねるようなことは、絶対にしない。
ロイの指示はいつも的確で、最善でなかったことはあっても、間違っていたことは一度もない。

事実、あんな気の狂った野犬の群れのど真ん中で、万が一体力が尽きて弾切れなんてことになっては、足手まといどころじゃなくなるのは目に見えている。

水分を摂って呼吸を整えるアレンの横で、マルクは言った。


「今日は思いきりやるといい。好きなだけ暴れてくれ」


アレンは、冗談ぽく言葉を返す。





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