レベッカ
ナイジェルの手には、マシンガンがあった。
アレンがよく使うのと同じ、それほど大きくない口径のものだ。
そして肩には、ライフルを提げている。
ロイとアレンが対峙するように仕組まれた状況、そしてこの武器。
ナイジェルは、二人をお互いの得物で殺して、仲間殺しの罪をお互いに擦り付けるつもりだったのだ。
アレンが、血が出そうなほど唇を噛み締めて、言う。
「お前……マルク派だったのか……? いつから、」
ナイジェルは伏し目のまま、どちらとも視線を合わさない。
だが次の瞬間、ロイが至って普通のトーンで放った言葉に驚いたのは、彼だけではなかった。
「俺、気づいてたよ」
「え……!?」
「アレンが怪我したすぐ後くらいから。煙幕弾もそうなんでしょ」
アレンが瞠目して、ロイを見る。
ロイは、アレンの視線は素通りして、ナイジェルを見続けていた。
そしておもむろに、正面に構えていた右腕を、明後日の方向へと逸らす。
そして、なぜか、なんの躊躇いもなく、撃った。