レベッカ
アレンの脚が動いた。
ロイの背中を追う。
だが、ナイジェルの指はすでに、引き金にかかっていた。
間に合わない――。
ナイジェルが、銃身を一層高く掲げた瞬間。
彼の首にはナイフが、脇腹には鋭い爪が、突きつけられていた。
すぐ背後には、ニラと、キュウがいた。
「降ろしてくださいよ、銃」
ナイジェルの、犬のような黒目がちの目が、泳ぐ。
もはや撃つ意味はない。
細い溜め息を吐いた。
ライフルを持った手を、ゆっくりと降ろす。
そうするしか、なかった。