レベッカ
荒い足音が、廊下に響く。
ピースフォース本部の居住区は当然男女で分けられてはいるが、それほどきっちり区分されているわけでもないので、女子部屋の近くを男性が歩いていることも、珍しくはない。
だが彼は、ある目的地へ真っ直ぐに、慌ただしく苛立たしく、早足で向かっていた。
重い安全靴が、がつがつと音を立てる。
そして彼は、やがて立ち止まった扉を、挨拶もノックもなしに、おもむろに開いた。
「アレン!!」
ばん、という大きな音。
目を丸くして振り返ったアレンは、ベッドに座って着替えているところだった。
乱暴な足音の持ち主を確認すると、下着姿の背中を晒しているにもかかわらず、焦ることも照れることもなく、溜め息を吐く。
「……ロイ。入る時はせめてなんか言えって……あぁもういいや、いいから扉閉めろ」
アレンは平然と言うが、ロイは、中性的な顔を険しく歪めて、彼女の肩や背中を見ていた。